オフィーリア〜ジョン・エヴァレット・ミレイ〜
天才ミレイの「オフィーリア」。
ウイリアム・シェイクスピアの戯曲「ハムレット」より。
死にゆくオフィーリアを描いた作品。
76.2cm×111.8cm、テート・ブリテン(ロンドン)所蔵。
作者はイギリス出身のジョン・エヴァレット・ミレイ(1829〜1896)。
史上最年少の11歳でロイヤル・アカデミーに入学しちゃいます。
11歳って日本だと小学5年生。。。神童!
「オフィーリア」は1852年に描かれた作品です。22、3歳かぁ。。。
芸術は年齢じゃないけどやっぱりすごいなぁ。
狂死の瞬間。
「ハムレット」は読んだことあるけど、 読み終わった後かなり辛かったので記憶から消しました(苦笑)。
でもオフィーリアの死は有名なシーンなのでなんとなく記憶が。。。
そのシーンの一瞬をこんなに生き生きと(というのは変かもしれないけど)表現されていて、消えゆく儚い美しさを感じます。
恋人のハムレットに冷たくされ、さらにハムレットがオフィーリアの父の殺してしまいます。
度重なる悲劇によって狂ってしまったオフィーリア、誤って川に落ちてしまったのか、自ら落ちたのか、、、
歌を歌ってる声が聞こえてきそうなほどのリアル感です。
作品中の花言葉。
首飾りのスミレ → 誠実・純潔・夭逝
ケシの花 → 死
ひな菊 → 無邪気、無垢
ナデシコ → 悲しみ
パンジー → かなわぬ恋
柳 → 失恋、見捨てられた愛
野バラ → 素朴な愛
ミソハギ → 純真な愛情、愛の悲しみ
忘れな草 → 真実の愛、私を忘れないで
イラクサ → 中傷、根拠のない噂、意地悪な君
こんなにたくさんの植物を意味深な花言葉を含めつつリアルに描ききる。
情報量多っ。
オフィーリア=エリザベス・ジダル。
モデルは帽子屋の店員をしていたエリザベス・ジダル。
ウォルター・デヴェレルがスカウトしたことで世界的に有名な絵画モデルへと階段を登り始めます。
デヴェレルと交流のあったミレイもモデルをお願いすることに。
先に何ヶ月もかけて背景を描いてから、アトリエの浴槽にジダルにドレスを着せポーズを取らせました。
冬だったので浴槽の下に石油ランプを設置して寒くないようにしてたけれど、制作に集中しすぎてランプの火が消え、冷たい水の中でジダルは長時間ポーズを取り続けました。
真面目っ!
そして肺炎になる。ソコマデガマンシナクテモ!!
本気で死にかけてるジダル。ミレイのリアリティの追求は半端ないですね。
ジダルはこの後、オフィーリアのように恋人に蔑ろにされ、体を壊し32歳という若さで亡くなってしまいます。切ないです。。。
ラファエル前派結成メンバーの一人。
当時アカデミーはルネサンス期のラファエルの絵画を模範としていました。
「息がつまるっ!もっと自然に忠実になろうぜ!」
と、ミレイ達若者がラファエル前派を立ち上げました。
ミレイは「自然をありのままに」というラファエル前派の思想により、鮮やかな色彩で細部まで正確に描写し、「オフィーリア」を制作しました。
アカデミーに反発してるグループだったからなのか、時代にそぐわなかったのか、最初は評判良くなかったんですねー。
暗い題材の作品はあまり好きではないのですがこれは別。
死にゆくオフィーリアの表情とはっきりとした色の美しい花々、折れた大木と艶やかな緑の対比が生と死を叙情的に表現されていて美しい!
ミレイの天才的な技法。ぜひ間近で見たいです。